■麻疹(はしか)
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスに感染することにより引き起こされる感染症です。麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、免疫を持たない人がウイルスに曝されると、90%以上の確率で感染すると言われています。感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染と様々で、空中に浮遊するウイルスや、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫(小さな水滴)を吸い込むなどして、鼻やのどの粘膜にウイルスが付着することで感染します。感染者の多くは予防接種を受けていない1歳前後の乳幼児ですが、最近では10代〜20歳代前半の麻疹も目立ってきています。麻疹は、誰でもかかる軽い病気と思われがちですが、症状はとても重く、治療も対症療法しかありません。感染者の約3割は肺炎や脳炎、中耳炎などの合併症を起こし、毎年死亡例もある重い病気です。予防のためには、2回のワクチンの接種を受け、あらかじめ免疫をつけておくことが大切です。
■症状
鼻やのどの粘膜に麻疹ウイルスが付着して侵入し、増殖を始めることにより感染が始まります。ウイルスの感染後、10日〜12日間程度の潜伏期を経て、熱や咳などの症状で発症します。
- 前駆期(カタル期)
38℃前後の発熱とともに、咳や鼻水などのかぜに似た症状と結膜炎症状(目の充血、目やに等)が現れ、次第に強くなります。乳幼児では、腹痛や下痢などの消化器症状を伴うことも少なくありません。これらの症状が2日〜4日続き、発疹が現れる1日〜2日前になると、口の中の頬の粘膜に、周辺が赤く中央が白い小さな斑点(コプリック斑)が現れます。
- 発疹期
一時的に熱が少し下がりますが、半日ほどで再び高熱(多くは39℃以上)となります。同時に、顔や首、耳の後ろから紅色の発疹が出現し、1日〜2日で全身に広がります。発疹が現れてからも、更に3日〜4日高熱が続き、咳、鼻水、結膜炎症状なども一層強くなります。
- 回復期
熱が下がり、他の症状も次第に軽快してきます。発疹は銅褐色の跡になりますが、これもやがて消失します。なかなか熱が下がらない場合は、合併症を起こしている可能性がありますので、注意が必要です。主な合併症としては、中耳炎、気管支炎、肺炎、脳炎があり、このうち肺炎と脳炎は、麻疹の二大死因となっています。
※過去に一度ワクチンの接種を受け、免疫が不十分な状態で感染すると、これらの典型的な症状が現れない場合があります。
■治療法
麻疹ウイルスには有効な薬はなく、感染した場合は対症療法(症状を軽くするための治療)が中心となります。中耳炎や肺炎などの合併症がある場合は、それらの治療が行われます。麻疹は、発熱の期間が約1週間と長く、それぞれの症状も重いため、体力の無い乳幼児には大変つらい病気です。免疫力の低下により、肺炎や脳炎などの危険な合併症を起こすこともありますので、感染が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
■予防接種
麻疹を予防するには、ワクチンの接種に勝るものはありません。麻疹は一度感染し発症すると終生免疫が得られるとされていますが、症状が重く、合併症の心配もある病気です。あらかじめワクチンの接種を受け、予防することが最善の対策となります。1歳になったら、できるだけ早めに1回目の接種を受け、小学校就学前の1年間(4月1日〜3月31日)には、忘れずに2回目の接種を受けましょう。
ワクチンの接種を1回しか受けていない世代の感染者が増加していることを受けて、平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間、中学1年生(第3期)と高校3年生(第4期)に相当する年齢のかたを対象に、無料で麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの予防接種が行われることになりました。麻疹ワクチンは、1回の接種で十分な免疫が獲得できるとは限らず、時間の経過とともに免疫力が弱くなるかたや、数パーセントですが、免疫のできないかたも出てきます。2回目の接種を行うことにより、免疫力が下がるのを防いだり、免疫のできないかたを減らすことができます。一度もワクチンの接種を受けていないかたも含め、該当するかたは、接種をお受けください。
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